良いデニムが、欲しかっただけなんです。
アラサーを迎え、ワードローブにデニムを加えようと思った。
「せっかくだから、王道の501を選ぼう」
そんな思いでリーバイスショップに行くと、スタッフさんから「LVC(リーバイスビンテージクロージング)」を勧められた。
「各年代を復刻したモデルで、それぞれの特徴が際立ってて、本当に良いデニムなんです!!」
なるほど。
では、いくつか見せてください。
「もちろん!上から1947年、1954年、1955年、1966年です!」
うん、一緒。
ぜんぶ、一緒だよ。
という訳で、今回は501のLVC(リーバイス・ビンテージ・クロージング)を素人目線でレビューします。
もくじ
501LVCをレビューする前提
リーバイス好きからすれば、この記事は、
「何も分かってねぇ!!」
みたいに思われるかもしれません。
歴史や背景なんてあらかた無視します。あくまでも、目の前の501だけに注力します。
書いてる人は服好きのデニム素人
私は、デニムに詳しくはありません。
90年代のデニムブーム時代には小学生でしたし、その後ビンテージデニムにハマったこともない。
501のことは「デニムの原点」だと思っていますが、それ以上の感情は持っていません。
アラサーを迎え、普段のワードローブを探している中で、
「そういや、501をリジッドから育てたことないな…」
と、なんとなく思い立って、リーバイスショップに立ち寄ったことがきっかけです。
シルエットと質感を優先する
リーバイス501が好きな方は、どうしても「背景」を見がちです。
例えば、1944年モデルを語るとき、リーバイス好きの方は必ず「大戦モデル」という言葉を口にします。
「第二次世界大戦時のモデルだから、資材が節約されているんだ。ほら、ウォッチポケットリベット、クロッチリベット、バックウエストシンチがないだろう?」
うん、何のこっちゃか分からん。
いや、分かるんですが、純粋にデニムを履く上では必要のない情報です。
そこで今回は、あえて"デニム素人目線"で、それぞれのモデルが、
- どんなシルエットで
- どんな質感なのか
この2つを優先してレビューします。
一応、ちょこっと背景も説明するのでご安心を。
レビューするLVCは8つ
今回レビューするリーバイスビンテージクロージング501は8つ。
- 1890年
- 1937年
- 1944年
- 1947年
- 1954年
- 1955年
- 1966年
- 1976年
LVC501は店頭でもウェブショップでも品切れが多くなっていますが、私が店頭で確認できたものを紹介しています。
何度も言いますが"素人目線"なので、もしかすると他にもモデルがあるかもしれません。
が、店頭で確認できなかったので無かったものとします。
501LVCの具体的なレビュー
それでは、具体的なレビューと比較に入ります。
まずは、それぞれのデザインを1度チェックしてみましょう。
大丈夫だ。問題ない。
今から、説明する。大丈夫だ。
画像をシャッフルしないでくれ。分からなくなる。
501LVC1890年モデルはクセが強い
クセが、強い。
1890年モデルは、めちゃくちゃワイドシルエットです。
まだまだ作業着だったころのデザインのため、普段着の上から、このデニムを履くようなシルエットになっています。
サスペンダーをする前提なので、ベルトループもなく普段使いはしづらい。
「現代に履く501」としては人気薄ですが、
「デザイン性のあるワークパンツ」
を求めるのなら"あり"という印象です。
501LVC1937年モデルはペインター風味
ワイドシルエットを求める人におすすめです。
先に紹介した1890年モデルを、現代に近づけたようなイメージ。
デニムの質感も現代に近くなり、しっかりとした生地を採用しています。サスペンダーボタンがなくなり、ベルトループが付いているため着用性も進化。
ペインターパンツのようなイメージで、
「上質なデニム生地を使ったワイドパンツが欲しい」
と考えている人にオススメできるモデルです。
501LVC1944年モデルはビンテージ好きのロマン
ファンは多いものの、素人意見としては1947年モデルの下位互換です。
1944年モデルは「大戦モデル」と呼ばれ、ビンテージデニムの世界でもコアなファンが多い時代です。
1940年代からは、今までの「作業着」のイメージから「ファッションアイテム」に近づいているため、1937年モデルに比べるとかなり細い。
現代でも通用するスリムストレートです。
1944年モデルには、リーバイスファンを唸らせるディティールが多い。
と言うのも、戦時中には資材節約のための制約がたくさんあったのです。しかし、リーバイスはあらゆる手法を用いて、クオリティやデザインをなるべく損なわないように努力した。
背面のアーキュエイトステッチ(リーバイスのマーク)をペンキで描いたり、リペット(金属ボタン)を減らしたり、当時の努力が垣間見えます。
ただ、素人目線で言えば、デニムのクオリティに影響を与えるものだと思ってしまいます。
1944年モデルを選ぶのなら、より完成度が高まった1947年モデルを選ぶのがオススメです。
501LVC1947年モデルは細身ストレート
美しいストレートシルエットが魅力の、最も人気なモデルです。
人気の理由は「質感」と「シルエット」の完成度。
戦争も終わり、近代社会で作られた「古き良きデニムの原点」と言えます。
元々の501からは考えられないほどのスリムストレートのため、肥満気味の方は履きづらいのが欠点ですね。
ただ、「このスリムシルエットを501に求めるのか」という話でもあります。
アイテムとしては間違いなく逸品ですが、美しいシルエットを追求したデニムならば501以外にも候補は多い。
例えば、リーバイス511は「ストレートとスキニーの中間のフィッティング」をコンセプトにしているため、純粋なシルエットの綺麗さでは511に軍配が上がります。
もちろん、
- 美しいシルエット
- リジッドから育てる楽しみ
- 3万円クラスの上質なデニム生地
これらを持っている"501"としては唯一無二ですので、お間違えのなきようお願いします。
501LVC1954年モデルは半端もの
良くも悪くも"現代的"なのが1954年モデルです。
この年代から、シルエットは「テーパード」になります。
【テーパードとは】
先に向かって細くなるシルエット。
腰回りにゆとりを持たせながら、足首を細くすることで快適性とシルエットを両立する。
1954年モデルは、
「西海岸の若者たちに向けたファッションアイテム」
としての側面があるため、かなり現代的なデニムになっています。シルエットも細身ですし、そもそもボタンフライではなくジッパーを採用しています。
良いデニムです。
いや、LVC501の中に悪いデニムなんて無いんですが、良いデニムです。
ただ、1947年モデルと同じく、"501"としての意味があるかと言われると…どうなんでしょう。
「1955年モデルで良くない?」
と思ってしまいます。
501LVC1955年モデルは501の代表っぽい
「リーバイス501を代表するモデル選手権」で最初にエントリーされる年代です。
ビンテージ界隈では「ダブルエックス」と呼ばれるものの1つ。
腰回りが大きくなり、膝まではゆるやかなテーパードで、膝から足首まではストレートになります。
1954年モデルまでは年代を追うごとに細くなっていましたが、ここに来てシルエットは大きくなる印象ですね。スタイリッシュさは消えるものの、良い意味で"野暮ったいデニム"になります。
個人的にはオススメできるモデルの1つです。
私はデニムマニアではありませんが、これまでの人生で見てきた「かっこいい501のイメージ」にぴったりなモデルなんですね。
この1955年モデルか、後に紹介する1966年1976年モデルを選べば、501を全力で楽しめると思っています。
501LVC1966年モデルは生地感がキレイ
「リーバイス501を代表するモデル選手権」にエントリーされる2つ目の年代です。
ビンテージ界隈では「ダブルネーム」と呼ばれるものですね。
ぶっちゃけ、シルエットは1955年モデルとめちゃくちゃ似ています。腰回りにゆとりがあって、足首に向けてゆるやかにテーパードしていく。
美脚シルエットではありませんが、王道デニムらしいシルエットです。
1955年モデルと違うポイントは「生地の質感」です。
画像では分かりづらいのですが、1955年モデルは毛焼き処理を行っていないため産毛のような質感があり、1966年モデルは毛焼き処理を行っているため滑らかな質感になっています。
どちらを選ぶかは好みですが、現代のデニムは毛焼き処理を行っているものが多いため、1955年モデルの方が「ビンテージっぽい質感」です。
501LVC1976年モデルは現行501に近い
「リーバイス501を代表するモデル選手権」にエントリーされる最後の年代です。
ビンテージ界隈では「66モデル」と呼ばれるものですね。
1976年モデルなのに、呼称は「66モデル」なんです。ビンテージ界隈のことはよく分からん。
肝心のシルエットと質感は1966年モデルとよく似ています。腰回りにゆとりがあり、足首に向かってテーパード。1966年モデルに比べると、腰回りをすっきりさせ、テーパードも強くなっています。
ここまで来ると現行の501に似てきますね。現行はさらに細くなっています。
ちなみに、これ言うと絶対にリーバイス好きの方から怒られるんですが、
- 1955年モデル
- 1966年モデル
- 1976年モデル
この3つは、素人目線だとほぼ同じです。
デニムの生地感は違いますが、シルエットがかなり似ています。あえて違いをあげるなら、以下のイメージ。
【1955年モデル】
→3モデルの中では最も大きいシルエット。お尻から膝まではテーパード、膝から足首まではストレート。毛羽立ちがあり、生地は分厚くて、濃色。
【1966年モデル】
→3モデルの中では真ん中のシルエット。お尻から足首までゆるやかなテーパード。毛羽立ちはなく滑らかで、生地の厚みも色味も真ん中。
【1976年モデル】
→3モデルの中ではすっきりした綺麗なシルエット。お尻から足首まで強めなテーパード。毛羽立ちがあり、生地は薄めで、青みが強い。
シルエットも生地の厚みも「3モデルの中では」ということを忘れないでください。
どれを選んでも、1937年以前の501よりはスタイリッシュですが、1947年や現行の501よりかは野暮ったくなります。
まとめ
各モデルの特徴は以下の通り。
【LVC501 1890年モデル】
→極太シルエットのデザイン性の強いワークパンツ。
【LVC501 1937年モデル】
→きれいなワイドシルエットのデニム。ペインター感覚で履くのがオススメ。
【LVC501 1944年モデル】
→デニムとしてのクオリティは1947年モデルの下位互換。ビンテージ好きのロマンが詰まっている。
【LVC501 1947年モデル】
→現代でも通用するキレイなスリムストレートシルエット。1つの完成形。
【LVC501 1954年モデル】
→501の中で唯一のジッパーモデル。良いデニムだが、501らしさはない。
【LVC501 1955年モデル】
→王道501のモデル。スタイルや身長に左右されない太めのゆるやかテーパード(ほぼストレート)。
【LVC501 1966年モデル】
→王道501のモデルその2。1955年モデルに比べると生地が滑らかになり、現代的なシルエットに近くなる。
【LVC501 1976年モデル】
→王道501のモデルその3。1966年モデルより、さらにすっきりめのシルエットになる。青みが強い色に。
いやー、改めて見ても違いが分かりづらい。
だけど、だからこそ、あなたが選んだ一着は特別なデニムになると思います。
デニム好きの方には怒られるレビューだったかもしれませんが、あなたの501選びの参考になれば幸いです。
※14日以内なら返品OK