リジッドの501は縮むため、試着してもジャストサイズを選ぶことが出来ません。
501は「STF(シュリンク・トゥ・フィット)」という概念を採用しています。
【STF(シュリンク・トゥ・フィット)とは】
洗濯して、履き続けるうちに自分の体にフィットさせる考え。
デニムに限らず、多くの生地は水を吸収することで縮む。しかし、リジッドデニムは製造過程で水を使わないため、購入した後の洗濯や着用で伸び縮みを繰り返す。
縮むのは主に「W(ウエスト)」と「L(レングス)」で、商品によって1~3インチは縮むため大きめの商品を選ぶことが大切。
ところが、「縮むことを踏まえて、どのサイズを買えば良いのか」は、ショップ店員に聞いても意見が分かれてしまう。
例えば、ここにW31インチ(79cm)の501リジッドがあります。
この501は、
- 縮む前にW31なのか
- 縮んだ後にW31なのか
どちらになるのでしょうか?
リーバイスのスタッフは言っていました。
「W31のデニムなら、縮んでW31になるのでジャストサイズを選んでください」と。
ところが、ライトオンのスタッフはこう言うのです。
「W31のデニムなら、縮んでW30相当になるのでワンサイズ上を選んでください」と。
どっちだよ。
ちなみにウェブ上を含めた定説で言えば、
「ウエストは1インチ縮むからワンサイズ上、レングスは3インチ縮むからスリーサイズ上」
を選ぶのがノーマルになっています。
という訳で、実際に購入して検討してみました。
結論から言うと、
「501オリジナルと501ビンテージクロージングでは、表記方法も縮み率も異なる」
ので注意してください。
シュリンク・トゥ・フィットの概念は難しい
まずは、シュリンク・トゥ・フィットのおさらいです。
先に紹介した通り、シュリンク・トゥ・フィット(以下STF)には、ややこしい側面があります。
「自分の体に合わせる」
と言うと素敵ですが、初心者を惑わせる細かいルールが存在するのです。
縮みと伸びを繰り返す
デニムは、縮みと伸びを繰り返します。
リジッドを洗うと目が詰まってグッと縮みます。ところが、履いているうちに、また少し伸びてくる。
洗うと、また縮む。履いていると、また伸びる。
それを繰り返して、必要なところは伸び続け、不必要なところは伸びなくなる。そうして、自分だけの501が手に入るのです。
そのため、リジッドや1回洗った状態で、多少サイズに誤差があっても気にしないで大丈夫。
特に、ウエストなんて履いているうちにどんどん伸びてきます。
私のウエストはジャストで30インチ~31インチ(76cm~79cm)ですが、正月セールで60%オフだった562なんて29インチですからね。
最初はキツかったものの、しばらく履いていると伸びるので馴染んできました。
アイテムによって異なる
「どのくらい縮むか」はアイテムによって多少異なります。
例えば、リーバイスビンテージクロージングには8種類以上の年代がラインナップされていますが、全ての生地質が異なります。
生地質が違うと、伸び縮みの雰囲気も異なる。
1度の洗濯でグッと縮むものもあれば、洗濯を繰り返す中で少しずつ馴染んていくものもある。それは、履き続けないと分からないのです。
加えて、「洗濯の仕方」によっても縮み方は異なります。
通常ファーストウォッシュは、
- 洗剤なしで洗濯機に入れる
- 日陰で干す
こんな感じの人が多いのですが、デニム好きの人は「乾燥機に入れて、強く縮ませる」を採用したりします。
反対に、洗濯ピンチで細かくつるせば、ウエストの縮み率は最小限に抑えることも出来ます。
どちらを選んでも正解ですが、覚えておいて欲しいのは、
「多少ミスったとしても、履き続けるうちの馴染んでくるから問題ない」
って話です。
デニムガチ勢に見られたら怒られそうな考え方ですけどね。
定説はウエストは1サイズ上、レングスは3サイズ上
ウェブ上にたくさんあるリーバイス好きの方々の定説は、
「ウエストは1サイズ上を選ぶ。レングスは3サイズ上を選ぶ」
です。
これの根拠は非常にシンプルで、501オリジナルのタグに書いてあるんですね。単純明快。
必要な部分だけ、ざっくり直訳すると、
ウエストサイズが27~36インチならば、1サイズ大きいものを選べ
インシーム(股下)サイズが27~34インチならば、3サイズ大きいものを選べ
こんなことが書いてあります。
商品に書いてあるなら間違いないと思うじゃないですか。
ところが、リーバイスショップの方は、
「ウエストはジャストサイズで大丈夫ですよ」
って言ってくるんです。そして、その通りだったんです。
それでは、実際のレポに行ってみましょう。
501オリジナルW31L34リジッドの縮み方
まずは「501オリジナル(アメリカ流通モデル)」です。
日本国内で売っているのは珍しく、コアなデニムショップや、ウェブ通販で購入できるモデルですね。
表記サイズは、
- W31(79cm)
- L34(86cm)
では、洗濯前のサイズと、洗濯後のサイズを見ていきましょう。
【洗濯前】実寸ウエスト32インチ(82cm) レングス34インチ(85.5cm)
そうなんです。
そもそも、ウエストとレングスで表記ルールが違うんです。
ウエストは表記サイズより1インチ大きく、レングスは表記サイズとほぼ同じ。
リーバイスショップのスタッフの方の言う通り、
「ウエストは表記サイズ通り、レングスは縮みを考慮して長めを選ぶ」
という答えの正解が見えてきます。
何はともあれ、ここから洗濯していきます。
最初の洗濯のやり方は諸説ありますが、
- 洗面台で水に5分つける
- 洗濯機で回す(洗剤なし)
- 晴れの日に適当に干す
というシンプルな感じでいきましょう。
【洗濯後】実寸ウエスト31インチ(78cm) レングス31インチ(79.5cm)
しっかり縮みました。
ウエストは表記通りか、やや小さいW31(78cm)に、レングスは表記よりも3インチ縮んで約L31(79.5cm)になったのです。
【選び方】ウエストは表記通り、レングスは3インチ長めを選ぶ
まとめると、以下のようになります。
【表記サイズ】
W31(79cm)
L34(86cm)
【実寸サイズ(洗濯前)】
W32(82cm)
L34(85.5cm)
【実寸サイズ(洗濯後)】
W31(78cm)
L31(79.5cm)
よって、501オリジナルをリジッドで購入する際は、
「ウエストは表記通り、レングスは3インチ長めを選ぶ」
が答えになります。
501ビンテージクロージング(1966年モデル)リジッドの縮み方
続いて、LVC501 1966年モデルのリジッドです。
主に、リーバイスの公式ショップや通販で売っているモデルですね。
表記サイズは
- W33(84cm)
- L34(86cm)
になっています。
ただ、LVCのモデルに感しては、ショップ店員の方の意見も、ウェブショップに書いてあることも一致しています。
「ウエストは希望サイズより2インチ大きめを選び、レングスは3インチ長めを選ぶ」
です。
それでは、確認していきましょう。
【洗濯前】実寸ウエスト34インチ(86cm)レングス34インチ(86cm)
これまた不穏な空気になってきました。
「表記から2インチ縮む」と書いてあるにも関わらず、ウエストの実寸サイズが表記よりも1インチ大きい。
このままでは2インチ縮んでも、32インチになってしまいます。
ちなみに、手違いで洗濯前の写真を削除していました。悪しからず…。
【洗濯後】実寸ウエスト31インチ(80cm)レングス31インチ(80cm)
と思っていたら、結局3インチずつ縮んで予定通りのサイズ感に。
ウエスト、レングスともに34インチから約31インチまで綺麗に縮みました。
【まとめ】ウエストは2インチ上、レングスは3インチ長めを選ぶ
まとめると、以下のようになります。
【表記サイズ】
W33(84cm)
L34(86cm)
【実寸サイズ(洗濯前)】
W34(86cm)
L34(86cm)
【実寸サイズ(洗濯後)】
W31(79cm)
L31(80cm)
よって、リーバイスビンテージクロージング501を購入する際は、
「ウエストは2インチ上、レングスは3インチ長めを選ぶ」
が正解になります。
ウェブ上の間違った情報に関して
基本的に、LVCを除く501リジッドの縮みルールは同じです。
つまり、日本で手に入れられる、
- 501オリジナルリジッド
- 501 MADE IN THE USA
- 501オリジナルリジッド(ライトオン限定)
などは全て「ウエストはジャスト、レングスは3インチ縮む」を前提にサイズを選べばOK
結局、リーバイスショップの方が言ってたことは正しかった訳です。当たり前か。
じゃあ、どうしてウェブ上には、
「ウエストは1サイズアップ、レングスは3サイズアップ」
みたいな間違った(ように思える)レビューばかりが多いのか。私個人としては、
- タグの情報
- 洗濯方法
- おじさん
この3つがポイントだと思っています。
タグに書いてある情報
まず、最大の理由はタグに書いてあることですよね。
「ウエストが27~36インチなら、1サイズ大きめを選べ」って。
これ、たぶん英語のニュアンスが違うんでしょうね。私は英語に明るくありませんが、
【まちがった直訳】
→1サイズ大きめを選べ
【正しい意訳】
→1サイズ縮む
こういうことじゃないかと。
「1サイズ縮む」なら辻褄が合うんです。そもそも、501リジッドはウエストの表記サイズと実寸サイズが違います。
【表記サイズ】
W31(79cm)
L34(86cm)
【実寸サイズ(洗濯前)】
W32(82cm)
L34(85.5cm)
【実寸サイズ(洗濯後)】
W31(78cm)
L31(79.5cm)
「1インチ縮むから、試着段階で大きく感じても問題ない」って意味なら、納得できます。
それでも、
- ウエストは洗濯"後"サイズ
- レングスは洗濯"前"サイズ
この表記方法にしているのは、どうかと思いますが…。
洗濯方法によって縮み率は異なる
デニムのブログを書いてる人って、間違いなくデニム好きなわけです。
そして、デニムガチ勢は洗濯方法にもこだわりがあって、
- 水洗いして
- 乾燥機に放り込む
この形が多いんです。
で、この「乾燥機に放り込む」って乾かし方は「最も縮み率が大きい方法」だと言われています。
それならば、
- 素人の陰干し
- デニム好きの乾燥機
この2つで多少の誤差が生まれるのは仕方ないのかもしれません。
おじさんはウエストの概念がゆるい
私が、地味に大きいと思っている理由が、これ。
"おじさん"はウエストの概念がゆるい。
私もアラサーなので若いとは言いませんが、年長者の方とはシルエットに関する考え方が違います。
特に、アメカジ好き(≒デニム好き)の方は、シルエットの概念がゆるい。
40代以上の方って、ベルトをするのが当たり前じゃないですか。そりゃ、
- ベルト"あり"でジャストサイズ
- ベルト"なし"でジャストサイズ
この2つじゃ「ジャスト」の概念が全然違います。
おまけに、ビンテージデニム好きの方はサイズの概念がさらにゆるい。そりゃ、ビンテージでジャストサイズを探すのは大変ですから、どうしても許容範囲は広くなります。
そんな方が、現行501のリジッドを購入したら…やっぱり、ウエストの概念もちょっと緩くなると思います。
まとめ
501オリジナルリジッド(アメリカ流通)は、
「ウエストは表記サイズ、レングスは3インチ長めを選ぶ」
が正解になります。他のリジッド501「MADE IN THE USA」や「ライトオン限定ストレッチモデル」も同じです。
【表記サイズ】
W31(79cm)
L34(86cm)
【実寸サイズ(洗濯前)】
W32(82cm)
L34(85.5cm)
【実寸サイズ(洗濯後)】
W31(78cm)
L31(79.5cm)
LVC501 1966年モデルリジッドの縮み方は、
「ウエストは2インチ大きめ、レングスは3インチ長めを選ぶ」
が正解になります。
【表記サイズ】
W33(84cm)
L34(86cm)
【実寸サイズ(洗濯前)】
W34(86cm)
L34(86cm)
【実寸サイズ(洗濯後)】
W31(79cm)
L31(80cm)
リーバイス公式ストアにも確認しましたが、リジッドの縮みルールは、
- リーバイスビンテージクロージング
- 上記以外
という括りになるようです。
つまり、今回紹介した501オリジナルリジッドはアメリカ流通モデルですが、日本で販売されているリジッドやMADE IN THE USAモデルも同じルールで選んでも大丈夫ということになります。