素材の特徴を知っておけば、冬ニットの購入に失敗することはなくなります。
現代のニット技術は凄まじい。写真で見ただけでは、「高級なカシミヤニット2万円」と「安い化学繊維のアクリルニット4000円」の見分けが付きにくいのです。
もちろん、実際に手にとって見たときの質感は別物です。そのため、各繊維の特徴や価格帯を知っておけば、ニット購入の失敗はなくなります。
そこで今回は、冬ニットにおける代表的な繊維、
【自然繊維のニット素材】
- ウール
- コットン
- カシミヤ
【化学繊維のニット素材】
- アクリル
- ポリエステル
- ナイロン
以上6つを徹底的に解説します。
自然繊維のニット素材
いわゆる「良いニット」の主原料は自然繊維です。
化学繊維の利用率がどんどん高まっている近代ファッション界において、ニットほど自然繊維が支持されているアイテムは存在しません。
代表的な素材は3つ。
【ウールニット】
→冬ニットの王道。暖かい。
【コットンニット】
→肌触り抜群。保温性に劣る。
【カシミヤニット】
→暖かく、肌触りも抜群。非常に高価。
それでは、1つずつ見ていきましょう。
ウール(毛)ニット
【基本データ】
暖かさ:☆☆☆☆☆
丈夫さ:☆☆☆★★
肌触り:☆☆☆★★
値段:☆☆☆★★
洗濯方法:クリーニング or 手洗い
ウールとは「羊毛」で作られたニットのこと。
タグには「毛」と表記されることが多くなっています。
ウールは、ファッションにおける冬用ニットの基本とも言える素材です。
特徴は何と言っても「抜群の保温性」 暖かさでウールに勝るニット素材は存在しないため、あらゆるブランドから展開されています。
ウールニットに明確なデメリットはありませんが、強いて言えば「品質のバラつき」です。
ウールの良し悪しはピンキリです。高級ブランドで使用されているウールはカシミヤにも劣りませんが、安価なウールならばアクリルを選んだ方が"まし"なことも多い。
大体、ラインは1万円あたりです。
【1万円以上でウール100%】
→良質なウールニットの可能性が高い。
【1万円以下でウール100%】
→粗悪なウールニットの可能性が高い。
ちなみに、最も市場に出回っているのは、染色性や耐久性を上げるために「アクリル」や「ナイロン」を混紡した5000円〜1万5000円ほどのウール混紡ニットです。
コットンニット
【基本データ】
暖かさ:☆☆★★★
丈夫さ:☆☆☆☆★
肌触り:☆☆☆☆☆
値段:☆☆☆☆★
洗濯方法:手洗い or 洗濯機
コットンニットとは「綿花から作られたニット」のことです。
タグには「綿」或いは「コットン」と記載されています。
コットンニットの魅力は「抜群の肌触り」です。
ニット特有の"チクチク"がコットンニットには存在しません。そのため、敏感肌の人には一押しのニットで、タートルネックとしても人気です。
ただし、保温性は冬ニットの中でワーストワンです。
綿の特性上、あまり分厚く作ることもできないため、冬ニットとしての人気はさほど高くありません。
カシミヤニット
【基本データ】
暖かさ:☆☆☆☆☆
丈夫さ:☆★★★★
肌触り:☆☆☆☆☆
値段:☆★★★★
洗濯方法:クリーニング
カシミヤニットとは「カシミヤ山羊の毛」で作られたニットのこと。
タグには「カシミヤ」と表記されています。
カシミヤはニット界における最高級素材です。
保温性はウールレベルで、肌触りはコットンレベル。おまけに、綺麗な光沢が特徴です。そのため、いわゆる「高級ニット」の大半はカシミヤで作られています。
その代償として、「値段」と「耐久性」は最悪です。
「カシミヤ100%」のニットはどこで買っても2万円を下らず、雑な扱いをすればすぐにほつれてしまう。そして、防虫剤を入れておかないと虫喰いの的です。
最高級素材ではありますが、日常使いとしては避けた方が良いかもしれません。
化学繊維のニット素材
化学繊維の魅力は何と言っても「安さ」と「丈夫さ」です。
風合いや雰囲気は自然素材には叶いませんが、普段使いとしては抜群のコスパを誇ります。また、自然繊維と混紡することで化学繊維のメリットを享受することも可能です。
代表的な化学繊維は3つ。
【アクリル】
→ウールに近い。保温性は抜群。
【ポリエステル】
→綿に近い。丈夫でなめらか。
【ナイロン】
→非常に軽くて丈夫。
それでは、1つずつ見ていきましょう。
アクリルニット
【基本データ】
暖かさ:☆☆☆☆★
丈夫さ:☆☆☆☆★
肌触り:☆☆☆★★
値段:☆☆☆☆☆
洗濯方法:手洗い or 洗濯機
アクリルとは「アクリロニトリルという有機化合物から作られる化学繊維」です。
タグには「アクリル」と表記されます。
アクリルは、ウールに最も近い化学繊維です。
保温性が高く、肌触りも悪くない。おまけに、価格はウールよりもはるかに安いため、若者ブランドにおけるニットの主原料として活躍しています。
「5000円以下のニットはほぼアクリルで出来ている」と言っても過言ではありません。
また、自然繊維に比べると鮮やかな染色加工が行いやすいのも特徴です。
そのため、高価格帯のニットであっても、アクリルを混紡することで色合いを調節することもあります。
ポリエステルニット
【基本データ】
暖かさ:☆☆★★★
丈夫さ:☆☆☆☆☆
肌触り:☆☆☆☆★
値段:☆☆☆☆☆
洗濯方法:洗濯機
ポリエステルとは、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮合重合によって得られる高分子化合物のこと。
タグには「ポリエステル」と表記されます。
ポリエステルは、コットンに最も近い化学繊維です。
そのため、防寒性は高くなく、冬ニットの主原料としてはあまり使われていません。あくまでも、「肌触り」や「耐久性」を上げるための混紡素材としてがメインになります。
また、「ポリエステル」に安っぽいイメージを持っている人はたくさんいますが、現代のファッション界はポリエステルによって支えられていると言っても過言ではありません。
「肌触り」や「染色技術」はどんどん発達し、今やアウターから肌着、パンツまでポリエステルは大量に使われているのです。
「安い」は否定できませんが、決して安っぽくはない。
「化学繊維だから」なんて理由でポリエステルを敬遠していると、良い買い物を逃してしまうかもしれません。
ナイロンニット
【基本データ】
暖かさ:☆★★★★
丈夫さ:☆☆☆☆☆
肌触り:☆☆★★★
値段:☆☆☆☆☆
洗濯方法:洗濯機
ナイロンとは、ポリアミド系合成繊維の総称です。
タグには「ナイロン」と表記されます。
ナイロンの特徴は「軽くて、丈夫」です。
保温性や肌触りには優れていないため冬ニットの主原料としては使えませんが、「ウール」や「カシミヤ」などの高級自然繊維に混ぜることで、自然繊維の魅力を活かしつつ耐久性を上げることが出来ます。
まとめ
あなたがニットに求めるものが何なのかによって正解は異なります。
一例として、以下のように考えると失敗はしないでしょう。
【暖かさ優先なら】
→「ウール」「アクリル」「カシミヤ」をベースに使っているニット。
【値段優先なら】
→「コットン」「アクリル」をベースに使っているニット。
【丈夫さ優先なら】
→「綿」「ポリエステル」「ナイロン」を混紡しているニット。
また、ニットの選び方やコーディネートに関しては以下の記事をご覧ください。